開発者はApp Storeの返金処理を直接行えない
ユーザーから「間違えて課金したので返金してほしい」「定期購読を解約して返金してほしい」という問い合わせが届いても、開発者には返金ボタンがありません。App Store決済の売買契約はAppleとユーザーの間で結ばれるため、返金の可否判定と送金処理はすべてAppleが行います。開発者がApp Store Connectの画面から個別の注文を返金することはできません。
問い合わせを受けたときは、自社で決済を取り消せない事情を手短に伝え、Appleの返金窓口へ案内します。放置するとApp Storeのレビュー欄に不満を書かれる原因になります。問い合わせ窓口で即座に案内を返せる体制を整えておく必要があります。
ユーザーに案内する返金手順
ユーザーにはApple公式の返金申請ページを使ってもらいます。案内する手順は次のとおりです。
1. SafariなどのブラウザでAppleの返金申請ページ(reportaproblem.apple.com)を開く。
2. 課金したApple Accountでサインインする。
3. 「返金をリクエストする」を選び、該当する理由と注文を選択して送信する。
Appleの規定により、請求が保留中(Pending)の段階では返金申請ができません。メールで注文の領収書が届いてから申請を行うよう伝えます。また、未払いの残高がある場合も支払いを完了させるまで申請できません。審査の進捗は同じページから24時間から48時間で確認できます。
そのまま使えるサポート返信テンプレート
返金の要望が届いたときは、次の文面を基本として返信します。無用な感情的対立を避け、手続きの場所だけを明確に伝えます。
「ご連絡いただきありがとうございます。アプリ内課金の返金についてご案内いたします。App Storeの決済システムはApple社が管理しており、開発者側で個別の返金手続きを行う権限がございません。大変お手数ですが、Apple社の返金専用ページよりお手続きをお願いいたします。」
文面の後ろに、前述の「reportaproblem.apple.com」へのリンクと、保留中は申請できない旨を箇条書きで添えます。英語圏のユーザー向けには、同様の案内を英語で用意しておくと対応が早く終わります。
返金が発生したときの売上と手数料の動き
返金発生時の売上や手数料の精算の詳細については、提出前にApp Store Connectをご確認ください。
App Storeの手数料率は標準で30%です。前年の収益が100万ドル未満でApp Store Small Business Programに登録している場合や、1年以上継続した自動更新サブスクリプションの場合は15%です。アプリの価格設定を見直したいときは、個人開発アプリの値段の決め方も参考にしてください。
誤認や不満による返金要請を減らす設計
返金要請の多くは、価格の誤認や定期購読の自動更新に対する理解不足から発生します。課金画面(ペイウォール)で無料体験の期間、体験終了後の請求額、請求サイクルを文字サイズと色で見やすく提示するとトラブルが減ります。
アプリの起動直後に強制的に課金画面を表示させると、誤タップによる課金が起きやすくなります。アプリ内で何が利用可能になるのかを納得させたうえで購入させる導線に改めます。機能が動かないという技術的トラブルの場合は、バグ修正版の提出を急ぐか、次回アップデート予定を返信で伝えます。
よくある質問
返金されたユーザーのアカウントをアプリ側で検知できますか?
Appleのサポート情報によると、返金されたアイテムへのアクセス権は失われる場合があります(実装の詳細は提出前にApp Store Connectをご確認ください)。
ユーザーが未払いのまま返金を求めてきた場合はどう案内すればよいですか?
未払いの注文がある場合、支払いを完了しないと返金手続きを受け付けないとAppleが規定しています。支払い方法を更新して清算した後に申請するよう案内してください。
Appleに返金を拒否されたとユーザーから苦情が来たらどうしますか?
返金の最終判定はAppleの裁量に委ねられています。開発者には規約上、返金を実行する手段もAppleの判定を覆す手段もないことを冷静に伝えます。

